「ゲット スマート」
日本映画がほとんどテレビ番組の映画化であることは今更言うまでもないことで、例えば東宝のラインナップを見るとテレビ欄かと思える位だ。
テレビ番組の映画化は日本映画に限ったことではなく、ハリウッドでも頻繁であり、まあ映画業界もネタがないし、資金を集めるためには一番手堅いのかもしれない。
「ゲット スマート」は1960年代に人気を博したアメリカのTVシリーズ「それ行けスマート」の映画化。
自分も放送していた時は観ていたのだが、藤村有弘氏の吹替は絶妙だった。
1980年代にも「0086は笑いの番号」で映画化されており、ヌード爆弾というバカバカしい兵器が出てきて、ヌードといえばこの人とばかりにシルヴィア・クリステルが出演というベタさ加減が面白かった。
ちなみに0086は007ではないということらしい。(え、今更説明は無粋?)
21世紀に映画化となると、当然スマート役のドン・アダムズはお亡くなりになっているし、他の出演者もご存命かどうかわからないので当然新しいキャスティングになってくる。
特に99号は誰が演じるのか?と気になってしまう。
かくして、スマートは「40歳の童貞男」のスティーヴ・カレル、99号は「プラダを着た悪魔」のアン・ハサウェイが演じることとなった。
その他にもアラン・アーキン、テレンス・スタンプ、ジェイムズ・カーンなどのベテランが共演!
テレンス・スタンプはゾッド将軍以来、すっかり悪役専門になってしまった感が強い。
知らない間にザ・ロックがドウェイン・ジョンソンという名前になっていた。
「HEROES/ヒーローズ」ファンはマシ・オカが意外に沢山出ているのでファンはチェキだ。
この映画のスマートは最初から極秘諜報機関コントロールのエージェントではない。
分析官として優秀なためにエージェントへの昇格を見送られているという設定。
しかし、ある日、世界征服を企む国際犯罪組織カオスがコントロールの本部を急襲!
全エージェントの顔と身元が知られてしまう。
唯一顔が知られていないのでスマートはエージェントに昇格、し、整形したために顔が知られていない美人エージェント99と組んで、カオスの陰謀を阻止しようとする…というのが大体の粗筋。
携帯電話が普及した現在、靴に仕込んである電話や電話ボックスの入り口は活躍しないかと思いきや、博物館に展示されており(コントロールは表向き冷戦終了後解散したことになっている)、短い時間だが一応使うことになっている。
電話ボックスは誰もいないところに作られており、電話ボックスにする意味さえないのが笑える。
しかし肝心の映画だが期待しすぎたせいか、あまり面白くない。
もちろん映画なので規模は大きくなっているし、往年のファンへの気配りもある。
TVシリーズでやりそうなベタネタも満載だ。
ところが、それが裏目に出てしまい、規模の大きいアクションシーンとかは良いのだが、TVシリーズ時代のような小ネタを使った笑いになると、今更感が強いのだ。
今更といえば、前半の見所であるパラーシュートなしのスカイダイビングだが、「007/ムーンレイカー」のプレタイトルでもお馴染みで、おそらくパロディを狙ったのかもしれないが、本家よりも面白くない。
1980年の映画と違い、今ならもっとVFXを駆使して面白くできそうなのに、それができていないのは辛い。
これをパロディだからというのなら、演出不足である。
全体的に21世紀に映画化するための昇華がなされていない。
そのため観ていて大変居心地が悪いのだ。
見所はアン・ハサウェイのお色気くらいか。
結局、予告編が一番面白かったことになる。
もちろん、自分の考えは少数派だと思うが、実際に自分の行った劇場はあまり笑い声がなかった。
まあ同窓会的なノリで楽しむしかないのかなあ。
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