「歩いても 歩いても」
自分も仕方なしにお盆や正月は親戚の集まりに顔を出すのだが、結局毎年どうでもいい会話に終始して終わってしまう。
まあ身内の集まりとはこういうものなのかもしれない。
例えば、そんなものをビデオカメラで撮影して見せられても赤の他人には面白くもなんともない。
ドラマだと話を進めていくための会話であり、とりとめもない日常を見せられても困ってしまう。
ところが、どんん場合も例外はあるものだ。
「歩いても 歩いても」は、長男の命日のために、老いた両親に家に久々に顔を揃えたある一家の話で、ホームビデオかと思わせる、あまりにもなにげない会話の積み重ねで話が進んでいく。
ところが、そのなにげない会話が妙なリアリティを生み出し、さらにはそれでいて物語として成り立っている。
これは凄い!
逆に観る方も相当な集中力を要求されてしまう。
昨今のテロップの入ったテレビ番組に慣れてしまった人には無理な映画なのである。
出演は、原田芳雄、阿部寛、樹木希林(B84-W64-H89←「寺内貫太郎一家」出演時)、夏川結衣(B81- W58- H83)、YOU(80- W54- H84←江原由希子時代)で、こんな濃い連中ばかりなのにきちんとバランスが取れている。
特に長男の死因を作った男への表向きはソフトだが、内心は誰よりも腹が煮えくりかえっている母親を演じる樹木希林がシャレではないが、鬼気迫るものがある。
監督は是枝裕和。
この人の映画は「誰も知らない」でもそうだが、淡々と進む中でも妙な緊迫感があり、今回も家族間の思惑が実際にありそうな感じがあって他人事ではない怖さがある。
そして、この映画に出てくる料理はどれも美味しそうで、特にとうもろこしがマジで食べたくなった。
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