「ぐるりのこと。」
一見権威のありそうな「キネマ旬報」のベストテンだが、実は大人の事情なのかどうかは知らないが、一般的に公開されていない映画がベストテンに入った時がある。
一応、日本のどこかで公開されたらしいのだが、あまりにも作為的なために、映画の本来のできとは関係なく、素直に観ることができなくなった、それが橋口亮輔監督の「ハッシュ!」だ。
カンヌ国際映画祭ほか、数々の映画賞受賞した「ハッシュ!」だが、自分はどうもあまり好きになれず、よくよく考えたら橋口監督の映画は「二十才の微熱」や「渚のシンドバット」にしても世間が言うほど良いとは思えなかった。
人それぞれなのだが、、どうも作品のテンポが自分に合わない。
だから橋口亮輔監督の6年ぶりの新作といっても、あまり食指が動かず、「待ってました!」という気持ちはない。
今回の新作は一組の夫婦が、生まれたばかりの子どもの死という悲劇を乗り越え再生していくまでの10年を描くもので、夫が法廷画家という設定なので90年代を代表する様々な社会的事件を物語の中に入れ込んでいる。
自分の中のボーダーが低かったからというのもあるかもしれないが、大変な傑作!
ひょっとしたら橋口監督の映画の中では一番好きかもしれない。
上映時間が140分と長めだが、これは夫婦の10年を描くためには必要だと思う。
また、ここ最近やたらと説明過多な映画が多いのに、言葉は少なく、だけど登場人物の何げない動きに物凄い情報量が含まれており、ちょっとしたことで崩れそうな人間の弱さが妙な緊張感を生んでいる。
夫婦と裁判という、普通なら、2本の映画にできそうなのに1本にしているが、夫婦の状況と世間の事件の異常さをシンクロさせる意味では正解かもしれない。
実はこの裁判が時間の流れと、ブリッジの役割をしているのだ。
ここ最近すっかりメジャーな鬱病をこの映画でも取り扱っているのだが、回復していく様子を丁寧に描いているのに感心した。
主演は「大奥」の木村多江(B84-W59-H87)、「おでんくん」の作者でお馴染みリリー・フランキー。
実はリリー・フランキーの演技を心配していたのだが、なかなかどうして意外なハマリ役!
いしかわじゅんでもそうだが、意外に漫画家でも役者やってる人いるよなあ。





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