「それでも生きる子供たちへ」
7か国の子どもたちが直面する厳しい現実を、それぞれの国を代表する監督たちが綴ったオムニバス映画。
世界中のかわいそうな子供の品評会みたいな話である。
だからといって、それを前面に出しているわけではない。
タイトルにひねりがないが、もしこれ以外だと「どっこい生きてる子供たちへ」になるのか?
そんなわけで、それぞれの感想など。
「タンザ」(監督:メディ・カレフ)
銃を手にゲリラ部隊の一員として戦闘にかり出されるルワンダの少年の物語。
少年兵の学校への憧れには胸つまるものがある。
「ブルー・ジプシー」(監督:エミール・クストリ)
窃盗団家族に生まれ、親から盗みを強要される少年の話。
途中でなんとなくオチがわかるのだけど、音楽が妙にテンポがよくて良い。
子供って本当に親次第なんだよなあ。
「アメリカのイエスの子ら」(監督:スパイク・リー)
HIV感染者が両親で、生まれた時からHIVに感染しているためにいじめられている少女の話。
韓国映画や市川拓司の小説みたいに病気が小道具として軽く使われるわけでなく、もっと切実な話である。
救いようがないが、その光があることを信じたい。
「ビルーとジョアン」(監督:カティア・ルンド)
廃品を集めて小銭に換え自活するブラジルの兄妹の語。
街中で空き缶集めをしている人がいるが、調べてみると物凄く集めても大した金額にならない。
この映画もゴミを集めて換金する子供達を描いているが、それを惨めだとか悲しいということを前面に出さずに、彼らの力強さやタフさを描いているのが良い。
「ジョナサン」(監督ジョーダン・スコット&リドリー・スコット)
戦場でのショックで幻覚にうなされるフォトジャーナリストが不思議な出来事を体験する話。
リドリー・スコットが関与しているので期待していたのだが、7本の作品の中では一番つまらない。
「チロ」(監督:ステファノ・ヴィネルッソ)
大窃盗団の最下層でたくましくも懸命に生きる少年の語。
金持ちから高級品を盗み、窃盗団のボスと互角に渡り合う子供が、ボスにささやかな願いが微笑ましくも悲しい。
影絵のシーンも良かった。
「桑桑と小猫」(監督:ジョン・ウー)
裕福だけど愛のない家庭に暮らす少女と、貧しい老人に拾われた孤児の少女が、一体のフランス人形を介して不思議な運命に導かれていく話。
実はこの映画で自分の目当てはジョン・ウーの作品だけだけだった。
子供が二丁拳銃で撃ちまくり、ハトが羽ばたき、スローモーションが駆使されているかと思いきや、チャン・イーモウかと思うような話で、貧乏で障害者だけど、けなげで親孝行で・・・・・・というあまりにも狙いすぎであざとい。
最後、これを持ってくるのは絶対にずるい。
くそ~、その手には乗らないぞと思ったが、すいません、これが一番泣けてしまいました。
ジョン・ウーの底力を認識!
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