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2007年3月30日 (金)

「秒速5センチメートル」

Douteieiga  新海誠といえば、緻密な風景とそれにそぐわないオタ臭いキャラクターデザインのアニメ作家というイメージが強い。
 「ほしのこえ」を観た時、宇宙と地球で携帯電話でメールのやりとりをすると着信までとてつもなく時間がかかるというアイディアにセンス・オブ・ワンダーを感じた。
 またこの作品をほとんど一人でしこしこ作ったことにも感心した。
 しかし、一方では物凄く面白いアイディアをうまく生かしきれていないのがもどかしくもあった。
 そして、長編「雲の向こう、約束の場所」は、有名人を声優に起用し、作画のクオリティーは高いが、世間の高評価とは裏腹に長編を維持できる内容と演出とは思えなかった。
 それに彼の作品はあまりにも青臭く、いわゆる童貞臭い映画である。
 この映画を観た後、居酒屋で作品について話していたのにいつのまにか、新海誠は童貞ではないか?という話で延々と盛り上がったことがある。(いや、酔った勢いの話なんですいません)
 そして新作である。
 小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。
 二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、時だけが過ぎていった。
 そんなある日、大雪の降るなか、ついに貴樹は明里に会いに行く……。
 貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、その後の貴樹を別の人物の視点から描いた「コスモナウト」、そして彼らの魂の彷徨を切り取った表題作「秒速5センチメートル」。
 これらの3本の連作アニメーション作品で成り立っている。
 基本的に新海誠のアニメは見せたいものがあって、そこから逆算しているような話が多く、今回も大雪の降る中、電車がうまく動かず、彼女と会う時間からとてつもなく遅れても彼女が待っていてくれたとか、物凄くベタな話で、いくら何でも電話くらいかけることができただろうとツッコミを入れたくなってしまう。
 一見いい話っぽいが詰めが甘いのである。
 例えば少年少女の非力さを描くのであれば、岩井俊二の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」があるが、「秒速5センチメートル」はそこまでは描けていない。
 しかし、一方では飛んでいく種子島のロケット込みの少年少女の構図とか身震いするぐらいかっこよく、あんなベタな話が何故それなりに見えてしまうかというと、絵で納得させることができるからである。
 今回は短編3本なのでボロが出る前に終わることができるのも良い。
 とまあ、今回はそこそこかなあと思っていたら、ラストの山崎まさよしの歌に合わせた映像にはやられた。
 ここの部分だけ物凄い傑作であり、実は予告編を見ている限り狙いすぎだろと思ったが、本編の映像は凄まじいものがあり、この映画はここだけでOKなのである。
 DVDが出たらここだけ見る可能性大!
 あ~くれぐれもできのいいMADだと言わないようにね!
  
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» TAKE 51「秒速5センチメートル」 [映画回顧録〜揺さぶられる心〜]
第51回目は「秒速5センチメートル」です。 この映画は、「彼女と彼女の猫」「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」で 有名な新海誠監督の作品です。ジャパニメーションの新鋭ということで私も ずっと注目している一人です。特に監督としてだけでなく編集・脚本・演出・ 作画・美術・絵コンテ・色彩設計・音響まで自分でやってしまうというマルチな 才能を持ったクリエイターでもあります。 前作「雲のむこう、約束の場所」も観ましたが、なかなかいい作品を作ってま... [続きを読む]

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