「幸福のスイッチ」
アニメを作ったと思ったら、今度は実写だったり大変だなあと思ったが、幸福の科○とは全く関係のない映画だった。
田舎の電器屋で儲けにもならない仕事をどんどん引き受ける父に反発して、東京のデザイン事務所で働いていた稲田怜は上司と衝突して自主退職してしまう。
姉から父が入院したという手紙をもらい、実家に帰った怜だが、実は妹が手紙を差し替えており骨折しただけだった。
生活費をカンパしてもらうことを条件に家業を手伝うことになるが身が入らない。
しかし、慣れない家業を手伝ううちに、父の仕事や人柄が地元の人々に深く愛 されていることを知るにつれて、忘れていた家族の絆や愛情の深さに気づいていく。
正直、全然期待していなかったというのもあるのだけど、大変面白い!
物凄く大きな盛り上がりがあるというわけでもないが、淡々と進んでいく。
それでいて親子の愛情をユーモアを交えてきちんと描いている。
そういえば、自分の昔住んでいた田舎は物凄く少ない人口なのに、電気屋と写真屋があるのだが、どうやって商売が成立しているのか気になっていたが、この映画に出てくる電気屋も正にそうである。
父親の浮気の話はちょっとダレるのだが、娘が父親の仕事を理解していく姿が無理なく描かれていて良い。
補聴器のエピソードに感動!
そういえば、目が見えるようになったとか、歩けるようになったとかの話は多いけど、意外に耳が聞こえるようになったという話はなく、確かに目が悪い時に眼鏡をかけたりするように、補聴器をつければすむ話なのだけど、その当たり前の話をもっともらしく見せるのは結構難しいと思う。
ちなみに補聴器が今はあんなに小さいのには驚き!
自分の知っている補聴器はイヤホンと操作機器が大きくてケーブルでつながっているやつだったので。
最後、主人公が電気屋を継ぐとかいうベタな話にならなかったのは良い。
まあ映画にも出てくるが「芸術と仕事を取り違えている」というのはわかる話で、本当に若い奴にいるんだよなあ。
出演は次女の 役に上野樹里(B83-W61-H87)。
全編ほとんどブーたれた顔でいるのだが、それも魅力的だ。
「笑う大天使」は必要のない関西弁に違和感を覚えたが、この映画ではむしろぴったりハマっていて良い!
父親役に沢田研二。
まあおそらく、ネットでは多くの人が言うだろうがWジュリーの共演なのだ。
若い人にはただのおっさんだが、自分の若い時は大スターで、とにかくかっこよかった。
レコードも買ったし、今だってカラオケにいけば彼の歌を歌う。
今でこそアニメソングは普通の歌手が歌うが、昔はアニメ専門の人が歌っていた。
ところが彼が「さらば宇宙戦艦ヤマト」の歌を歌った時は大変衝撃的で、おそらくアニメの歌を大物アーティストが歌う先駆けだと思う。
そんな若い時代に好きだった沢田研二を久しぶりにみると随分老けたなあと思った。
母に似てほんわか真面目な妊娠中の長女役に実生活でも本当に妊娠してしまった本上まなみ(B82W59-H88←妊娠前)。
工業高校三年生で修理もできる妹役に三女役に中村静香(B82W60-H86)。
この三姉妹の性格の設定は面白いと思う。
和歌山県田辺市のご当地映画なのだが、極端な観光映画になっていないところがいい。
むしろ、さりげない生活の様子からその土地の様子がわかる方が自然なのではないかと思う。
監督の女性なのだが、女の視線からのギスギスした感じが出ていなかったのは感心!
思った以上の傑作なのだが、ミニシアター系なので知る人ぞ知る映画になって終わりなんだろうなあ。
イナデン坊やは確かに電気屋のマスコットキャラでよくありそうなのだが、電気屋の敵である雷様がモデルというのはどうよ?
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