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2006年10月15日 (日)

「リリイ・シュシュのすべて」

Nnd7_3  いやあ正直告白すると「Love Letter」(関根恵子の出ているエロ映画や中井貴一が中国女と偽装結婚するんじゃないやつ)を観て凄く感動して、調子こいて絵コンテまで購入してたんですよ(笑)
 で、その後ドラマにもかかわらず劇場公開になった「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」も大変感動して、とりあえず岩井俊二は要チェックだなと思って劇場公開するたびに観にいって
いたわけ。
 ところが、「スワロウテイル」観た時にやたらと振り回しているカメラにゲロ吐きたくなったし、長い割りにはしょうもない話でがっかり。
 その後、「四月物語」で、頭の悪そうな大学生が作りそうな自主映画観て考え直した。
 「Love Letter」や「打ち上げ花火」はたまたまできが良かったんだなあと思い直す。
 改めて映画は一本一本が勝負で、必ずしも傑作を作った監督だからどの作品も良いわけではないと認識する。
 まあ例えるなら、大林宣彦が「時をかける少女」がいくら良くても「漂流教室」は評価できないのと同じである。
 そんなわけで「リリイ・シュシュのすべて」通称「リリすべ」に関しては面白ければ儲け物くらいにしか考えていなかったのだが、自分の周りはえらく気合いの入った奴が多い。
 「あの映画はスター・ウォーズ/エピソード2と同じカメラ使ってるらしいぜ」
 24プログレッシブ・デジタルビデオカメラのことらしいが、それなら「ダンボールハウスガール」もそうだし、「アギト」だってそうなのだが、とにかくエピソード2を観るまでに新しい撮影方法を
確認しておきたいらしい。
 公開当時、劇場でちょっと浮いている客層がいたらそれはスター・ウォーズファンに違いない。
 ちなみに画面は言われなければフィルム撮影と言われても信じてしまうくらいのきめ細かさで、昔のエロ映画のキネコに比べたら全然違う。
 映画は、男子中学生が田園の広がる地方都市で歌手「リリイ・シュシュ」を唯一の心の支えに、鬱屈した毎日に耐える。いじめ、恐喝、援助交際など当時のの中学生の抱える問題を描いたもので、少年・少女期のナイーヴさと残酷さがこれでもかというくらいとことん描かれている。
 はっきりいってひたすら暗い話展開ではあるのだが、この映画は岩井俊二の映画としては久しぶりの傑作である。
 相変わらずの手持ちの撮影ではあるのだが、思った以上に振り回していないので気持ち悪くなかったし、妙に長い上映時間は本来なら疲れるのだが、この映画に関してはだれることはない。
 その最大の要因はなんといってもテンポが良いことで、特に文字で出てくる投稿の文章が良いクッションとなっていることだろう。
 そしてそれらを含む異常な程の情報の多さが、頭の中で考える時間を与えないので構築されるばかりになっていく。
 そうなるとブルース・リーの言葉通り「考えるな。感じるんだ」ということになり、どんどん画面に引き込まれていく。
 まさにこの映画で言うところのエーテルを感じる(しかしエーテルと言う言葉を聞くのも久しぶり。「キャプテン・フューチャー」を読んでいた頃以来か?)
 だからこの映画の感想を言葉にするのは難しい。
 話筋をまとめるのも難しいくらいだ。
 もしえらく陳腐な言葉でいうなら岩井俊二の今までの映画を足して更に昇華したような話である。
 大変暗い話にもかかわらず、時々救われるシーンがある。
 その最たるものが荒んだ話展開とは裏腹に妙に美しい画面だろう。
 例えば空の吸い込まれるような青いこと!
 この映画であえて辛いところは沖縄でのエピソードが長すぎることか?
 もう少し短くてもいいかもしれない。
 ただ上映時間の長さも登場人物の心理的な動きを表現するには必要な長さかもしれない。
 自分の一番のお気に入りのシーンは最初の方で中学生が万引きして先生が迎えにくるところがあって、電車の中でポータブルCDプレイヤーのイヤフォンをそれぞれ片方ずつ分けて聞くところがある
のだが、先生と少年の顔と顔が近づけているところが絵的に決まっていて、これだけでもこの映画はいいかなあという広い心になってしまった。
 映画が終わった後は妙に疲れてしまう。
 しかし、しばらくするともう一度観たくなってくる。
 岩井俊二の術にかかったかもしれない。

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コメント

初めまして、達也です。
岩井監督の『リリイ・シュシュのすべて』を
最近観ました。最初に観た後、何だか心にヒリヒリと
する痛みが残り、躊躇したのですが、
昨日再度じっくりと観直して見ました。
色んな発見があったのですが、
この映画は観るものの心に沢山の傷を作るのですが、
再生するエネルギーが観る者にある限り、
心に痛みを伴って<リロード>するのです。
だから、ヒリヒリと痛みながらも、
もう一度観たくなる。<エーテル>的な
エネルギーを感じるのではと、思うのですが・・・。
岩井監督は、確信犯で作ってますよね。
恐るべし、岩井俊二。

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