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2006年8月13日 (日)

「笑う大天使」

16692_2  川原泉は、セリフの言い回しや独自のキャラクターや作風が面白く、特に初期の短編はかなり傑作が多く、自分が一番最初に読んだのは「真実のツベルクリン反応」なのだが、絵はそんなにうまいと思わなかったが、独自の面白さがあったことを覚えている。
 この人の本領は短編で一番発揮されるものであり、長編は意外に面白くない。
 「笑う大天使」はよくよく読んでみると、名門お嬢様学校に通う庶民出身の3人の女子高生が、いたずらで作った薬品で怪力の持ち主になり、名門女子高の生徒を狙う誘拐犯と戦うという間抜けな同人誌並みの話展開である。
世間的には人気作品らしいが、自分的には川原泉の中ではかなりつまらない作品の一本であり、実はここらへんあたりから川原泉の作品は面白くなくなっており、その後、「笑う大天使 オペラ座の怪人」の連載時にやたらと原稿を落とし、やっつけ仕事っぽくなってきて、心地よかったセリフの言い回しも鼻につくようになってきた。
 もし「笑う大天使」を映画化するのであれば相当な脚色がいると思うし、だからといって川原泉の独自の面白さを捨てていいというわけでもない。
 そんなわけで、「笑う大天使」の映画化だが、見事の改悪ぶりである。
 真剣つまらない。
 そもそも超お嬢様学校に普通の庶民の女の子が入ってくるという設定も今更ながらの展開で、確かに原作通りなのだが、原作は1987年の話で、この時はテレビで「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」でお嬢様をさがせのコーナーが人気のあった時代であったことを考慮しなくてはならない。
 この番組以降、お嬢様=金持ちで世間知らずのイメージが定着しているが、どちらかというとテレビや映画のお嬢様のイメージはは実はお姫様なのである。
 本当のお金持ちの娘は金を持っているのでブランド物を買ったり、遊びに出歩いたり、やりたい放題で一番俗っぽい。
 アメリカのドラマに出てくる金持ちのお嬢様は車やブランド物の服、ドラッグを買ったり何でもありで、実は一番俗世間にまみれている。
 この映画でお嬢様の生徒が日清のチキンラーメンを知らないというエピソードが出てくるのだが、チキンラーメン=庶民という発想がもう既に古臭くて笑えない。
 つまり21世紀の映画化への昇華がまるでなされていないのだ。
 そもそも例え1987年の時代設定でもそのまま映画化して面白いかというと全然面白くないわけで、漫画は漫画という表現の中で言葉的に面白いのであって、それをそのまま映像化したところで面白くなるはずがない。
 ところが映画はそのまま映画化どころか悪い方向に作られており、主人公の通う学校は湖に浮かぶ島にあり、そこにいくまでに専用列車を使うということになっていたりという、金持ちの発想があまりにも俗っぽく、そういう演出だと言われればそれまでなのだが、最後はアクション物になったり、巨大な女子高生が出てきたりして、川原泉の原作という要素はまるでなく、どちらかといえば70~80年代に作られた東映の漫画の実写化であり、「コータローまかりとおる!」のD地区篇の映画化だったら、学校内にモノレールが走っていても全然OKだが、「笑う大天使」の本質はそういうものではないと思うし、これなら全く別物にした方が良い。
 まあ言ってっても仕方ないのだが、聖ミカエルの制服も、デザインが古臭いならまだしもちょっとかがめば胸の谷間がみえそうなもので、これで清楚なお嬢様学校というのだからあきれてしまう。
 原作通りのデザインか、「マリア様がみてる」みたいな制服の方が説得力あると思う。
 上野樹里(B83-W61-H87)扮する主人公の大阪弁も大変抵抗がある。
 そもそも原作は大阪弁でないし、この映画であえて設定変更までする効果が出ていたかというと全然出ていない。
 さらにいうと、誘拐犯の犯人が原作と全く違ったり、全然意味不明なCGのダミアン(「ハチミツとクローバー」の黒猫もそうだが、今CGが流行なのか?)だったり、ツッコミどころは満載である。
 CGを駆使した映像は今の流行りだが、あまりにも過剰なので食傷気味だし、この映画は普通に作った方が絶対に面白いと思う。
 ここまでCGを使うのなら「有閑倶楽部」の映画化なら若干許せるかも。
 この手の話が脱力系ギャグというのかなあ。
 いい言葉だよねえ、「脱力系ギャグ」
 面白くなくて滑りまくっていても「脱力系」という言葉で済んでしまうから。
 映画の中でチキンラーメンを「おチキンおラーメン」といっているのだが、「お」をつければ上品とかいう大昔のギャグも「脱力系ギャグ」なんだろうなあ。
 監督は小田一生。
 今までVFXの仕事をしていて、今回が初の映画監督らしいが、樋口真嗣といい、特撮の人は特撮に専念してもらいたいものである。   

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