「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」
幽霊と秘密のトンネルって、有名な怪奇スポット、四国の中村トンネルや三重の旧総谷トンネル、愛知の伊世賀美トンネルのことだったらちょっといやだなあ(泣)
一色まことは漫画はとてつもなく面白いのに休みが多く、「出直しといで!」も「花田少年史」も最後の方はどうなったかとんと記憶になくて、特に「花田少年史」が連載していた「ミスターマガジン」は創刊から廃刊まで欠かさず全部買っていたけど、最後どうなったかなあ。
そんな曖昧な記憶で「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」を観にいった。
一応、主人公の花田一路が事故をきっかけに幽霊を見ることができるという設定は覚えている。
だから原作と比べてどうこうとか言える程でもないし、アニメは未見。
つまりそこまで思い入れのない原作なのである。
正直あまり期待していないというか、「ALWAYS三丁目の夕日」や「佐賀のがばいばあちゃん」系統のノスタルジー路線の映画かなあと思っていた。
実際、映画が始まってしばらくして、ベタな話展開とあまりにもチープな合成画面に、昔の大林宣彦の「水の旅人/侍KIDS」や「あの、夏の日/とんでろ、じいちゃん」 を思い出させるものがある。
これはヤバいか?不安が胸をよぎった。
しかし、これが意外な程面白く、正に想定範囲外!
というかかなり傑作ですよ。
最初、一路が幽霊を見ることができるので、女子高生の幽霊や、一路の本当の父親を名乗る弁護士の幽霊、近所のばあさんの幽霊など、それぞれ話を面白くする単発エピソードかなと思っていたら、それぞれが全てつながっていたのには驚き。
実はこの映画、ご都合主義といえばそれまでなのだけど、それぞれの登場人物の話がうまく絡んでいる。
「ALWAYS三丁目の夕日」や「佐賀のがばいばあちゃん」とは違った良さがあり、いつのまにかベタな演出やチープな合成も気にならず、それらも話展開的には合っているとさえ思えてくるのだ。
この映画の良いところは笑いと泣き所のバランスがうまくとれているところで、ベタな泣き所でもちょっとしたユーモアを入れることによりくどくならないようにしているのだ。
確かに幽霊が出てくるという設定から子供向きなところもあり、確かに昔の「学校の怪談」を思わせるところもある。
そこらへんはユーモアがあって面白いのだが、一路の友達の親の再婚話や女子高生の幽霊の謎が解けてくるあたりから、せつない感動が待受けている。
特に運動会の借り物競争のエピソードは結構ホロっとくるものがあり、まあ自分も歳とったなあと思って、ふと周りを気にすると、観客の皆さん号泣ですよ。号泣!
確かに韓国映画だと泣かそう泣かそうという展開なので、身構えてしまうのだけど、この映画は予告編とかCMを観る限りそんなことを思わないし、そりゃあある程度ちょっといい話は入るだろうと思ったけど、あそこまでと泣かされるとは誰も思わなかっただろう。
例えば「ALWAYS三丁目の夕日」は吉岡秀隆が半べそで叫んでいる映像を見ただけで、泣かせる展開だなと思うけど、この映画はその手の「泣き要員」がいなかったんだよね。
最後が間抜けなサイキック合戦みたいになってしまったのは人によっては拒否反応を起こす人もいると思う。
明らかに原作の雰囲気からかけ離れているからだ。
原作の記憶が曖昧な自分としては、映画全体の雰囲気がこの調子なのでOKだと思う。
出演は花田一路役に須賀健太。
彼は「ALWAYS三丁目の夕日」の古行淳之介役の子役じゃないですか。
あの映画だと根暗な小学生なのに、この映画では妙に明るい正反対の役に芸人の底力を見た。
彼の両親役に西村雅彦と篠原涼子(B82-W59-H85)。
西村の若い時の長髪姿が笑える。
時代設定は90年代なのだけど、70年代にしか思えない。
篠原涼子はちょっと美人すぎというか、もう母親役かよ!
この映画では彼女の歌を久しぶりに聞けるので嬉しい限り。
女子高生の幽霊役に安藤希(B76-W55-H88)。
いや、やっぱりオバケ系で顔色の悪そうな女優といえば佐伯日菜子(B75-W55-H88)が結婚して仕事を減らしている今、彼女しかいないよね。
一路の本当の父親を名乗る弁護士の幽霊役は北村一輝。
やっぱりこの手の胡散臭い役をやらせておくと日本一だね。
監督は水田伸生。
これが初監督作品らしいが今後に期待!
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