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2006年8月19日 (土)

「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」

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 怪獣映画には妙な考えがある。

 ・ゴジラの1作目は大傑作だ。
 ・ゴジラをハリウッドで作ったら面白い。
 ・金子修介がゴジラを監督すれば面白い。

 まず評判の良い1作目だが、これは公開された時期もあると思う。
 戦争の記憶が生々しい時に、この映画の衝撃は大きいだろう。
 リアルタイムで観た人の話を聞くと「怖かったなあ」という返事が返ってくる。
 確かに初めて観た衝撃は大きいと思う。
 自分も「スター・ウォーズ」を観た時の衝撃は忘れられない。
 しかし、若い奴に聞くと「そおっすかあ~?」という返事である。
 これは仕方ない。
 撮影技術が進んでいるのだから、当時の特撮は今観ると情けないものだろう。
 「ゴジラ」にしてもそうである。
 特撮は当時はともかく今観ると全く大したことがない。
 そもそも特撮以前に映画に色がついていないんだから。
 もちろん古い映画だからつまらないかといえばそうでもない。
 しかし、ゴジラの1作目に関しては過剰評価されていないか?
 若い世代でゴジラの1作目が一番だという奴はどうも疑わしい。
 それぞれの考え方なので何ともいえないが、自分は随分過剰評価されているようで仕方がない。
 ところが特撮を含む当時の時代性を差し引いても、実はこの映画はテンポはあまり良くない。
 もっといえば一連のゴジラ映画だが、実は傑作というのはなくて、評価も絶対値ではなく、ゴジラの中ではという相対比でしかないように思える。
 個人的(←ここが重要)には「キングコング対ゴジラ」の方が面白いと思っている。
 次にハリウッドでゴジラを作ったら面白いのではないか?という考えだが、確かに日本よりもうまい特撮でやってくれるだろうと自分も考えていた。
 そしてアメリカ版ゴジラが登場したのだが映画的には見事に面白くない。
 原因は監督が面白くない大作を作ることでお馴染みローランド・エメリッヒだからで、これがスピルバーグだったらもっと面白くなっているに違いないと誰でも思うことだろう。
 特撮はそれなりにうまいのだが、いかんせん日本とは怪獣の認識がまるで違う。
 日本のゴジラが神や一種の天災の存在に近いのに比べ、アメリカはどこまでいっても恐竜、または極端に大きな動物の延長にしかすぎない。
 そしてその究極は「ジュラシックパーク」だろう。
 アメリカの怪獣は日本がゴジラを基準としていたように「ジュラシックパーク」を基本としている。
 その証拠にアメリカ版ゴジラは後半になると「ジュラシックパーク」になってしまう(本当は脚本と演出に原因があるのだが・・・・・・)
 アメリカ版ゴジラはイグアナの突然変異であり(ブースカかっちゅうの)、当然日本人が期待している怪獣=火を噴くという発想はない。
 動物が火を噴かないからだ。
 そして日本の怪獣にあたるのがおそらくドラゴンである。
 この思想の違いがどこまでいっても平行線であり、だからこそアメリカ版を観ていて日本人は居心地の悪さを感じるのだ。
 そして金子修介がゴジラを監督すると面白いという考え。
 確かに「ガメラ/空中大決戦」は面白かった。
 今まで何度も特撮ファンの間で話し合われたこと、例えば怪獣が本当に出現した時のシュミレーションや自衛隊のあり方、人の目線から見た怪獣の大きさ、太陽光で撮影された不自然さのない絵などが全て実現化されていた。
 「ガメラ空中大決戦」が公開された時、怪獣映画ファンは待ちに待ってた作品がとうとう登場したことに感激しただろう。
 キワモノ映画だったガメラがあそこまで昇華されてしまったことに驚いたはずだ。
 後の2作品も面白かった。
 そして誰もが思うこと「金子監督がゴジラをやったら面白いはず」
 自分もそう思ったことがあった。
 しかし、逆に言えば金子修介が監督して面白くなかったら、ゴジラは何をしても面白くないことになる。
 さらに言えば、特撮ファンを中心とした大人のファンと東宝が考えているゴジラは全く違うものである。
 もっとリアルな話にしてほしい、子供だましだなど色々意見が出ているのだが、それが実現されたことはない。
 観客の声が東宝に伝わっていないのか?
 伝わってはいるだろう。
 ゴジラのプロデューサーのところには沢山の手紙やメールが届いているに違いない。
 しかし、だからといってそれが反映されたかというとそんなことはなく、相変わらず派手な格好をしたGフォースが走り回り、話も子供騙しだ。
 ということは、東宝側としてはゴジラはマニアのためではなく、子供向きの映画であると明確なコンセプトがあることになる。
 そしてその路線で興行成績的に成功しているのだから全く問題なしであり、会社の方針と収益が合っていれば路線変更する必要はない。
 文句を言ってくるうるさいファンもいるが、そいつらだって観ているわけだからまんまと東宝の策略に乗せられているのである。
 おそらく東宝としてはそんなに言うなら観るなよというのが本音だろう。
 もっと言えば「だったらお前がスポンサーになれよ。好きな通りに作ってやるぜ」と言われるかもしれない。
 もし、今の路線がダメなら路線変更だってする。
 路線変更と言っても別にゴジラで勝負する必要がないわけだから、他の映画だっていいわけで、要は商売でしかない。
 「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」だが、監督は待望の金子修介。
 これで面白くなかったらゴジラはもう面白くなる要素はないと思う。
 結論から言うと滅茶苦茶面白い。
 おそらく歴代のゴジラの中では一番面白いと思うし、自分の2001年の日本映画のベストテンに確実に入ってしまう。
 やればできるんだなと言う思いと、今まで何やってたんだ?という気持ちが入り交じる。
 金子修介がゴジラの監督をすると面白いというのは正しい。
 ゴジラという素材が演出が違うだけでこうも違うのかと驚いてしまった。
 この映画の世界では巨大怪獣が認識されている世界で災害の一種とされている。
 ゴジラは昭和29年に甚大な被害をもたらしていることになっている。
 冒頭にアメリカでも怪獣が出現した云々という話がでるのだが、その時の会話「あれってゴジラだよな」「いや日本の学者は認めていない」というのが笑った。
 もちろん、これはアメリカ版のゴジラのことを皮肉っているのだ。
 この映画はゴジラはすぐに出てこない。
 怪獣が出てくるのに相当時間をかけており、それまでは怪獣の出現を思わせる状況を見せていく。
 これは「ジョーズ」の時もそうだがうまい演出だと思う。
 今回登場する怪獣はゴジラ、バラゴン、モスラ、キングギドラである。
 特にゴジラは目が白く瞳はない。
 それだけでも相当恐ろしいのに、この映画のゴジラはまさに血も涙もない破壊の限りをつくしている。
 おそらくゴジラが本当に怖いのはこの映画が初めてだと思う。
 劇場に映画を観にくる親子に対して今回のゴジラは相当刺激が強いというような趣旨の注意書きがはってあっったが、これは子供によっては相当怖いと思われる。
 自分が観ていた劇場では、半べそをかいた子供が途中で出ていったからだ。
 「ガメラ3」の時に渋谷で相当な数の人が吹っ飛んでいたが、今回も露骨に人が吹っ飛び死んでいる。
 特に篠原ともえ扮する足を骨折して動けない患者が、病院に向かってくるゴジラに恐怖におののく。
 ゴジラが病院をやりすごしてほっとした次の瞬間、尻尾が病院を破壊してしまうのだ。
 今までこのような残酷な描写はなかった。
 ところが今回はこの手の演出が多く、ゴジラが出てきた時に船が一緒に持ち上げられるシーンがあるのだが、普通そこまでなのにこの映画ではご丁寧に船が落ちるところまできっちり描いている。
 そして極めつけは、ゴジラが火を吹いた後にキノコ雲が立ち上っているところで、いくらゴジラが放射能と関係があるとはいえ、あそこまで露骨にやってしまうとは潔い!
 さらには昭和29年にゴジラが出現し、宇崎竜堂扮する軍人が子供の時代に両親を亡くしてしまうという徹底ぶり!
 だからこそ彼がゴジラ撃退に燃えるわけなのだが、昭和29年の様子が「火乗るの墓」を思わせるくらいの陰惨ぶりで、いかにゴジラがひどい奴かというのがわかる。
 ゴジラが最初に戦うバラゴンは瞳がつぶらなかわいい怪獣である。
 普通、戦うといっても掴み合いのプロレス的なものなのだが、ゴジラとバラゴンの戦いは、今年観た映画の中では「リリイ・シュシュのすべて」に出てくる中学生の次に残酷で、まさに動物の生きるか死ぬかの戦いで、やられてしまうバラゴンが痛々しい。
 モスラは今までぬいぐるみにしか見えないので好きではないのだが、今回は繭から出てきて羽化するところや、きちんと足が動いているのに感心した。
 キングギドラは今までと比べて少し首が短い。
 しかし、モスラと合体(?)して羽が生えた時のかっこよさは抜群である。
 今回の映画の面白さは怪獣が出た時はどうなるか?というシュミレーションをゴジラとしては相当念入りにしているところだ。
 例えばいつも話題になる「これだけ科学が発達している時代に海から歩いてくるゴジラなんか事前にわかるだろう」という疑問も、避難勧告が遅れたという明確な理由で処理している。
 まあ確かに実際自分らもTVがなければわからないので、情報なんかわからない。
 例えば台風の進路はTVの天気予報があって初めてわかるだけで、普通は台風の進路どころか台風かどうかも判断できない。
 特撮はとりたてて目新しいものはないのだが、演出がうまいので効果的に使われている。
 怪獣が暴れたり、ヘリが落ちたりすると被害が出るということをきちんと描いている。
 また、最後の決戦が夜の横浜なのだが、今まで夜のシーンは相当明るかったのだが、この映画は暗い。
 しかし、だからこそ火を吹くゴジラの背ビレが光る時の効果はうまく出ているし、時々サーチライトがあたってゴジラの姿が出てくるところに怖さが出るのだ。
 また火を吹くと周りが明るくなるというのも、意外に当たり前のようだが、今までそれができていなかったと思う。
 その他にもモスラが羽ばたくと風が舞い上がったり、バラゴンが移動している時にさりげなく土煙が舞い上がっているところ、爆発すると人が吹っ飛ぶところ、建物が観ていて気持ちいいくらいに壊れていくところ(特にベイブリッジの壊れ方が最高!)など大変芸が細かい。
 しかし、今回の特撮の最大の効果は、怪獣がいかに大きいかということをきちんとみせているところで、画面の構図の取り方や場面構成がその積み重ねになっていることだと思う。
 怪獣が歩くと家の中がひっくりかえったりするのは当たり前だが、今回はゴジラが歩いていると微妙に画面が振動音と一緒に揺れるという細かい芸をみせている。
 前作までCG製作のためどうしても軽く見えた怪獣も今回は着ぐるみを使用したのか重さを感じる。
 さらに特撮以外にも人間の演出もできていて、「ガメラ」でもそうだが基本的にパニックを描かせれば金子監督に勝る人はいない。
 逃げる人も今までだとやみくもに走っている状態だったが、この映画はむしろ軍の指示で誘導されているシーンもあって良し。
 ゴジラが原因で精神的におかしくなってしまった人とかもさりげなく出ている。
 自分は昔阪神大震災の時、かなり怖い思いをしてそれからは地震だと小さくても結構怖くなるのだが、まさにその心理状態か?
 ゴジラは本来の観客ターゲットが子供であるために、登場人物にこましゃくれたガキが出てきているのだが、今回は病院にちょっと出てくるだけで後はひたすら大人のドラマになっている。
 やっぱり子供よりも美女と怪獣が良いと皆思ってたはず(自分だけか?)
 キャスティングは新山千春(B82-W58-H85)が最高!
 というか金子監督を女を撮らせたら妙にうまく、彼の場合どういうわけか妙な色気が漂ってしまう。
 いくら前田愛ちゃん(B75-W58-H79)が大人になってきたとはいえ、「はぐれ刑事」の時はまだ子供っぽいのに、彼の映画に出てしまうとどういうわけか物凄い色気を感じさせてしまう。
 今回は頭の包帯の痛々しさにちょっと来るものがある(いや別に綾波フリークじゃないんだけどさ)
 新山の勤めているのがBSデジタル放送の会社でマイナーと言われているのが当時の現実なので笑えない。
 やっぱり彼女の会社も「原宿ロンチャーズ」(当時これがBSデジタルの中で比較的面白かった番組)みたいな番組作っているのか?
 宇崎竜童は軍人というよりもどっからみてもヤクザだし、しゃべりがへたなのは困ってしまうが、逆にあの不器用さが軍人らしくていいのかもしれない。
 また今までの金子映画の同窓会状態も本来なら鼻につきそうなのだが、さりげなく処理しているのが良い。
 これが桑田佳祐ならこんなわけにはいかないはずだ。
 ゴジラファンに対してのサーヴィスがあって、わかる人にしかわからないが、山から顔を出すゴジラってどう考えても1作目を思わせるし、モスラといえば小美人であるが、さすがに今回は出ないだろうと思っていたが、一瞬出てくるモスラを見上げる前田姉妹が同じ服を着て出てくるシーンがあり、小美人を思わせる形で出しているのは見事!
 いつもその存在の定義が作品ごとに微妙に違うゴジラだが、今回は滅茶苦茶大雑把に言うとよしもとよしともの「東京防衛軍」に出てくる東京ゴーストみたいなものであ
る・・・…って誰かわかる奴いるか?
 正直、今回の映画は話的には完璧ではないし説明不足なところもあるのだが、少なくとも観ている間は気にならなかったし、何よりもきちんと絵で見せた正統派の怪獣映画
ということは大きく評価したい。
 おそらく何をやっても満足しないゴジラファンや特撮ファンはどうかは知らないが、つまらなくはないが何か物足りない平成ゴジラ・シリーズや、どうしようもないミレニアム以降などを考えれば遥かに良くできていると自分は思っている。
 宇崎竜童風にいえば「映画の面白さに敬礼!」ってとこか。

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